山田 豪×篠田耕造 |対談|和光会グループ|岐阜

地域の未来のためには、なくてはならない在宅医療。
「みんなを笑顔に。」のため質にこだわる和光会グループのこれからを共に語る。

  • 山田 豪

    和光会グループ 理事長(医師)

    主な経歴など/
    京都大学医学部附属病院、兵庫県立尼崎病院などを経て、現在に至る。
    倉敷中央病院 内分泌代謝・リウマチ内科代謝疾患や内分泌疾患が専門。また、在宅での看取りや緩和ケアなど、在宅医療にも積極的に取り組んでいる。

  • 篠田 耕造

    在宅医療部 部長(看護師)

    主な経歴など/
    岐阜市民病院、岐阜ハートセンター(看護部長)を経て、現在に至る。
    認定看護管理者・MBA取得。人生100年時代、急性期病院からニーズの高まる在宅医療の推進を目指し和光会に合流。岐阜県看護協会副会長、日本看護協会役員を兼務。

  • 山田 豪

    和光会グループ 理事長(医師)

    主な経歴など/
    京都大学医学部附属病院、兵庫県立尼崎病院などを経て、現在に至る。
    倉敷中央病院 内分泌代謝・リウマチ内科代謝疾患や内分泌疾患が専門。また、在宅での看取りや緩和ケアなど、在宅医療にも積極的に取り組んでいる。

  • 篠田 耕造

    在宅医療部 部長(看護師)

    主な経歴など/
    岐阜市民病院、岐阜ハートセンター(看護部長)を経て、現在に至る。
    認定看護管理者・MBA取得。人生100年時代、急性期病院からニーズの高まる在宅医療の推進を目指し和光会に合流。岐阜県看護協会副会長、日本看護協会役員を兼務。

在宅医療について
「人を看る“在宅マインド”で患者さん、家族に寄り添う」

篠田部長
いつから在宅医療に関わるようになったのですか?
山田理事長
2014年に岐阜に戻ってからです。以前から在宅医療の必要性を感じて、他のクリニックの見学や、学会や研修会で勉強してはいましたが、実際に携わったのは和光会に入ってからです。特に2015年に北方在宅クリニックを開業してからは多くの在宅症例を経験しました。

また同時に和光会で地域医療を行う中で、在宅医療のノウハウや経験をもっと活かすべきではないかと感じました。
篠田部長
具体的には?
山田理事長
例えば、病院や施設スタッフが困っていることが、在宅医や訪問看護師などの在宅スタッフにとっては何でもないことが多くあります。また、在宅医療が単なる地域包括ケアシステムの一部門ではなく、様々なサービス、事業所を繋ぎ、全体のアウトカムを高められると感じています。

その為、在宅医療で得た知見や考え方、いわゆる「在宅マインド」を法人全体に広げたいと思っています。そうすることでもっと仕事が楽になりますし、多くの介護・福祉サービスを持つ和光会グループの強みを生かすことにもなるのではないでしょうか。
篠田部長はどう思いますか?
篠田部長
急性期病院は「病院完結型」のため、自院の存在を自院の価値で見る傾向がありました。そういう視点で和光会を見ると、「在宅マインド」はまさに「その人を看よう」としています。これは、ご利用者とご家族、スタッフ全員にハッピーになって欲しいという、和光会の理念「みんなを笑顔に。」に繋がっていて、とても共感します。

急性期にいた時の反省点として、在宅での生活など色々な情報を集めていても、それを治療や看護に活かせていなかったという思いがありました。
山田理事長
2015年に父、2016年に祖父が他界しましたが、家族として関わる中で、急性期病院では「これ以上の治療は難しい」ということが分かった時のサポートが十分ではないと感じました。在宅医療を経験した今なら分かりますが、当時は家族に委ねられる部分が大きいと感じましたし、一般の方なら、かなり戸惑うと思います。

例えばがんであれば診断時から家族を含めサポートする、広い意味での緩和ケアの必要性は広がってきていますが、急性期病院だけでは十分とは言えません。家族の状況も理解し、本人や家族に近いところで寄り添う在宅のスタッフの存在は大きいと思います。

外来で治療を継続される方でも、経験豊富なよい訪問看護が付いている人は幸せだと思います。訪問診療の導入など、タイミングよく判断して提案してくれたり、病院に対して家族の気持ちを代弁してくれたり、患者さんや家族にとってメリットは大きいと思います。
篠田部長
20年以上前なら、救急車で病院に運ばれ治療後、リハビリをしてご自宅に退院するまでが急性期病院の中で治療・看護ができました。今は領域・臓器別になり、急性期病院は限られた期間しか見れずに、退院もしくは転院されてしまいます。そのため、どうしてもエビデンスだとか病気や臓器ばかりを見ることになり、人を看る機会が奪われてしまいました。

そんな中、高齢化や少子化の時代に変えなければならない社会的価値観を、和光会は早くからキャッチし、チャレンジしているところに共感したことが、私は和光会グループに入ったきっかけです。
山田理事長
診療の場の違いも大きいですね。急性期病院の専門外来と、地域のかかりつけ医に求められることは異なりますし、私も急性期病院で専門外来を担当する時と山田病院など和光会で診療する時とでは自然と診療スタイルは違ってきます。

多くの高齢者は複数の疾患を持っていますが、急性期病院は診療科ごとに専門分化しており、いわゆるかかりつけ医のように全てを一人の医師が担当することはできません。また訪問看護ステーションやケアマネジャーといった介護サービスとの連携も容易ではありません。これはある程度仕方のないことかなと思っています。

人材育成について
「質の高いケアを標準化」

山田理事長
和光会では医療職だけでなく、比較的多くの介護職員がエリア長を始めとする主要なポジションに就いています。これは地域包括ケアを担う中で、多職種連携や地域を広い視野で見るということに慣れている点や、早くから小規模事業所でマネジメントを経験しているからかもしれません。
これからは在宅を経験した人が病院や施設に移動することも増えるのではないでしょうか。
篠田部長
現場スタッフのスキルアップにも力を入れていますね。例えば北方在宅クリニックではデスカンファレンスを全症例で行いますし、毎月の勉強会にも力を入れています。他にもさまざまな振り返りや症例検討会を多職種でやっていますね。
山田理事長
デスカンファレンスの目的は2つあります。

1つ目は振り返りです。在宅医療はまだまだエビデンスが少ない上、外部の目が入らないため、自分では「良かったな」と思っていても、スタッフや家族が必ずしもそう思っているとは限りません。個人としても、チームとしても、成長するためには振り返りは重要です。

2つ目はスタッフの心のケアです。例えば訪問看護は病院と違い、看護師が1人で患者さんの元に行き、長い時間を過ごします。ケアマネも困難事例や家族とのやり取りの中で悩みや思いを溜め込むことも多くあります。それらを吐き出す良い機会と捉えています。
篠田部長
組織の中で10人中9人が緻密さを持って取り組んでいても、1人の弱みが全体の質を決めてしまいます。全体として、質の高さが標準であること大事です。デスカンファレンスのようなチームでの振り返りは、全体の標準化にも繋がります。多職種での実施により質の向上が期待できますし、勉強会で得たものを訪問看護師が現場に活かしたりして、主体的に法人として成果が出ていると感じます。

訪問看護ステーションはサービスの質にはとてもこだわっています。そこに惹かれて転職を希望する看護師も増えてきました。
山田理事長
それはありがたいですね。カンファレンスや勉強会だけでなく、篠田部長や訪看和光の山田所長が来て、訪問看護の教育プログラムを整えてくれたことも大きいと思います。これからもスタッフが誇りを持てる、質の高い医療・ケアを提供できるよう、取り組んでいきたいですね。

多職種連携について
「職種の垣根を越えた環境」

篠田部長
先程も少し出ましたが、多職種連携についてはどうお考えですか?
山田理事長
そうですね。地域の会議などではいまだに「顔が見える関係ができて良かった」という感想を聞きます。5年前はそれで良かったかもしれませんが、もはやそんなことは言っていられません。

顔の見える関係を作ったその先に何をするかが重要で、多職種がお互いに遠慮したり、甘えていてはいけません。それぞれが専門職としてしっかりと役割を果たし、さらに連携の努力をする必要があると思います。
篠田部長
多職種連携のリーダーシップは誰が取るべきでしょうか?
山田理事長
ケースバイケースだと思います。認知症の方でケアマネが中心となるケースもあれば、終末期の方なら、医師や看護師になることが多いと思います。ただ、重要なのは患者さんや家族を中心において考えることです。

特に在宅では疾患の治療や延命だけがゴールではありませんから、しっかりと本人や家族の意思を確認し、進めることが必要です。その方がスタッフにとってもやりやすいと思います。
篠田部長
ケアマネジメントの質向上についてはどうお考えですか?
山田理事長
ケアマネジャーは医療職ではないため、一般的に医療や医療との連携に苦手意識を持っている方が少なくありません。しかし、医療的な病状の理解や見通しが、介護サービスの選択に重要ですし、必要に応じて、医師や看護師・リハビリ職などの意見を聞くことも重要だと思います。医療的な判断はできなくても、医療を恐れず理解しようとする姿勢が必要です。

和光会に限って言えば、内部のケアマネジャーと医療職の垣根は低いですし、数年前から多職種による困難事例の検討会なども実施しています。お互いにとっての学びとなる、よい取り組みだと思います。
篠田部長
一方で、在宅医療の中でケアマネジャーが置いてけぼりになっていることもありますね。
山田理事長
岐阜に戻った時、小規模多機能型居宅介護とか定期巡回随時対応型サービスといった比較的新しいサービスは、「ケアマネジャー自体がサービスの内容と、活用法を理解していないため利用者が増えない」という声をよく聞きました。比較的新しいとはいえ、専門職であるケアマネが知らないなんて、ありえないと思いましたが、実際はあったわけです。これは介護職全般に言えることですが、教育の問題だと思います。

医師や看護師は比較的幅広い経験を積んでから地域に出るものですが、ケアマネジャーをはじめ介護職は小さな事業所や一ヶ所の事業所しか経験していない方も多い。そうすると自法人のサービスを使うだけだったり、他のサービスをよく知らないということは起こりえると思います。
篠田部長
そういう意味では、理事長がよくおっしゃられるように、和光会にはほぼ全ての介護サービスがあるため、ケアマネジャーにとっては非常によい環境ですね。
山田理事長
そう思います。医師にとっての総合病院のような環境ではないでしょうか。実際和光会のケアマネは様々な介護サービスを経験として知っていますし、分からないことはいつでも聞いたり、相談できる環境にあります。

またケアマネジャーだけでなく、医療や看護の専門職からも「このサービスがいいのではないか」という提案があります。
篠田部長
ケアマネジャーが経験不足だと萎縮したマネジメントになりがちです。「気づき」を得る機会として、今後もケアマネジャーには積極的に勉強会や交流会に参加して欲しいですね。また、*機能強化型Ⅰ訪問看護ステーションには、ケアマネジャーと協働することが求められています。

ご利用者の重度化や看取りに柔軟に対応できるプランを立てるためにも、在宅医療事業部において、ケアマネジャーとの情報マネジメントや価値観の共有を行います。

*機能強化型Ⅰ訪問看護ステーションとは、①看護職員数②24時間対応③ターミナルケア療養費などの算定数④重症度の受入数⑤居宅介護支援事業所の設置、以上5つの要件をすべて満たしている訪問看護ステーションのこと。

地域包括ケアについて
「医療や介護だけでなく、障がいや子育てにも広がる地域包括ケア」

山田理事長
和光会は多くのサービスがあるため、時には「抱え込み」と見られることもありますが、外部から見てどうですか?
篠田部長
本来ワンストップサービスというのは、悪いことではなく、顧客にとってメリットです。
最近よく言われるように、悪い抱え込みと良い抱え込みがあります。和光会の場合、顧客にとって良質なものを求めた結果そうなるのであれば問題ないと思います。

実際、意見が言いやすく、細かな調整ができるからこそ良質な環境を維持できるため、法人内の方が連携や看取りの質を追求できると思います。
山田理事長
確かに、外部の事業所へこうして欲しいと言っても、なかなか難しいでしょう。法人内の方が統制は取れますし、改善も迅速に行えます。しかし、法人内ですべて完結するわけではありません。
篠田部長
地域にはさまざまな事業所がありますが、法人内外問わず、質の高いサービスを提供し、思いを共有できる人たちと連携しながら一緒に地域を盛り立てたいですね。
そのためにも和光会が率先して、目指すレベルや標準を示し、スタンダードを提示することが重要なのかもしれません。

地域包括ケアシステムの概念が広がり、障がい者や子どもも含まれるようになってきましたが、この辺りはどうお考えですか?
山田理事長
医療や介護に比べると少ないですが、和光会でも障がいや子育ての事業を行っています。障がい者も高齢化し、介護や看取りが避けられなくなったり、医療との連携が重要になっています。発達障がいの子どもでも、医療や療育、学校や保育園、行政、親といった多職種連携が必要ですが、高齢者ほどうまくいっていないのではないでしょうか。

リスクマネジメントや効率化といった点でも医療や介護の方が進んでいると感じる面はあります。そういう意味でも、我々が障がいや子育て事業を展開すること自体に意味があるのではないか思います。

10年後の和光会の在宅医療は

篠田部長
今、介護士のやれる範囲が広がり、ともすれば看護師と変わらなくなってきています。しかし、アセスメントから結果に繋いでいくなど、和光会の在宅医療、和光会の看護にはしっかりとした軸があります。これからも、ケアプロセスの標準化と見える化で、質の高い訪問看護を実践していきたいですね。そして、共感してくれる人にはぜひ、仲間として就職していただきたいです。志をひとつにする仲間を、増やす計画は具体化したいですし、さらに魅力ある組織・環境を作りたいです。

理念の「みんなを笑顔に。」にも繋がりますが、個人や家族、地域住民の健康、みんなで楽しく過ごせる環境をどれだけ作れるか。これは**認定看護管理者の使命でもありますが、和光会のフィールドでなら実現できる要素があります。

現在、幸福度1位の県は福井県ですが、岐阜県も幸福度の高い県にしたいです。「岐阜にいてよかった」、「岐阜で最期まで」と感じてもらえるような仕組みに関わっていきたいです。

**病院や介護老人保健施設などの管理者として必要な知識を持ち、患者・家族や地域住民に対して質の高いサービスを提供できるよう組織を改革し、 発展させることができる能力を有すると認められた看護師(日本看護協会より)。
山田理事長
在宅医療を更に発展させ、医事していくためには質と効率化が重要です。在宅医療に関わるスタッフを更に充実させ、標準化を図っていきたいですね。また山田病院を中心に、和光会グループ全体で取り組みたいと思います。そして、患者さんや地域だけでなく、医療機関など同業者からも信頼される法人でありたいですね。

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