中村 規子×チャンさん・ティエンさん |対談|和光会グループ|岐阜

それぞれの夢を叶えるためにベトナムから日本へやってきた2人。
エリア長とともに、日本での暮らしと介護について語る。

  • 中村 規子

    加納エリア エリア長
    特別養護老人ホーム
    ナーシングケア加納 施設長(看護師)

  • チャンさん

    加納のベトナム人留学生

  • ティエンさん

    加納のベトナム人留学生

  • 中村 規子

    加納エリア エリア長
    特別養護老人ホーム
    ナーシングケア加納 施設長(看護師)

  • チャンさん

    加納のベトナム人留学生

  • ティエンさん

    加納のベトナム人留学生

日本に留学を決めた理由
「ベトナムで今まさに注目される介護の仕事」

中村さん
まず、お二人は加納に来る前に日本語学校で日本語を学んできたという経緯がありますよね。
そもそも日本を留学先に決めた理由はどういったところにあるんですか?
ティエンさん
私はベトナムにいる時から介護の資格を取りたいと思っていました。
日本は介護の技術が世界で一番だと思います。だから日本に来て、介護を勉強したいと思いました。

私には日本に住んでいるベトナム人の友達がいます。私の友達も日本で介護を勉強していて、その友達から日本の介護のことを教えてもらいました。だから、日本に来ました。
チャンさん
私の姉はいろいろなアルバイトをしていたのですが、その経験から「将来は人の役に立つ仕事をしなさい」と姉に言われました。
ベトナムでは介護士という仕事が人気になっていましたので、姉は私に介護士の勉強をすすめてくれました。

それからたくさん考えて、日本で介護士の勉強をしようと決意しました。

日本に留学を決めた理由
「ベトナムと日本の高齢者を取り巻く環境の違い」

中村さん
実際に来日されてみてどうですか?
今や世界中の国から日本は超高齢化と言われていますが、やはりそう感じることはありますか?
ティエンさん
はい。日本は老人ホームが多いと思います。
中村さん
チャンさんもここに来る前は、有料老人ホームで働いていたと聞きました。
札幌から岐阜に来られて、どちらも老人ホームって多いなと感じますか?
チャンさん
そうですね、多いです。
ベトナムにも老人ホームはあります。でも、田舎の方にはあまりないです。
中村さん
日本だと日帰りのデイサービスや特養のように高齢者の方が入所されたりといろいろなタイプの介護がありますが、ベトナムにはそういったデイサービスや特養のような場所はあるんですか?
ティエンさん
今はそういう形はまだないです。
高齢者はたくさんいますが、みんな家で家族が介護しています。
中村さん
30年くらい前の日本のような感じなのかな。
ベトナムと日本の高齢の方の違いみたいなところはありますか?
ティエンさん
ベトナムの高齢者は日本の高齢者より衰えるのが早いです。40代や50代くらいから衰えていきます。
日本人の40代や50代はまだ高齢者じゃないし、すごく元気だと思います。
中村さん
そうなんですね。
40代とか50代と言われると、そろそろ私もかなと思っちゃったんですけど…(笑)。

ベトナムは50代から急に衰える感じですか?
チャンさん
はい、そうですね。
50代や60代のおばあちゃんはほとんど仕事をしなくて、家で家事をしたりして孫の面倒を見ています。
日本とは全然イメージが違います。
中村さん
ベトナムといえばノースリーブでワンピースを着たご高齢者が市場で買い物をしているような、アクティブなイメージがあったんですけど、今のお話を聞いているとずいぶん違いますね。
日本は30代から40代にかけて仕事がおもしろくなり、50代くらいからは自分で仕事をうまく回せるようになってくる時期かと思います。

ベトナムだとそれくらいの時期にはもう退職になるんですか?
ティエンさん
はい。
50代で身体が弱ってくるため、病院に通いながら健康を維持して働く方が多いようです。
中村さん
ちょっとイメージと違いましたね。
ベトナムの方の平均寿命ってどのくらいなんですか?
チャンさん
調べたら76歳でした。日本は80歳を過ぎますよね。ベトナムより10年くらい長いです。
理由としては、日本の食材の良さだと思います。栄養がたっぷりあります。ベトナムの食品は品質・安全性があまり良いと思いません。
中村さん
3月の終わり頃にチャンさんと一緒に理事長宅で食事会をした時、ベトナム料理をごちそうしていただいたんですよね。
そのときは野菜をたくさん食べる生活!っていう感じがして、食材の買い出しでも野菜類をたくさん買っていたイメージがあったんですが、これもまた新たな発見です。

日本にやってきた当時の気持ち
「言葉の壁。そして学びと実践とのギャップ」

中村さん
実際に大学へ行ったり、現場に入った時の気持ちは今でも覚えていますか?
ティエンさん
最初に日本語を勉強したときは、外国人ばかりのクラスで日本人の友達とあまり話せなかったです。時々寂しさも感じていました。
でも、だんだん慣れました。話していてわからないことがあれば、日本人に教えてもらいました。
中村さん
その時期にはまだ言葉の壁ってありましたか?
ティエンさん
日本語で話した時、外国人のみんなが話す日本語はわかります。でも日本の先生はわかりませんでした。(笑)
チャンさん
それすごくわかります(笑)。
先生の言葉がわからないことはよくありますが、外国人同士で日本語を話すと、わかりやすい。
今は大学4年生になりましたが、最初は福祉の勉強がとても難しかったです。でも技術は、見て真似をして、同じようにやればいいだけですから、問題はありません。

でも、やはり日本人と同じように日本語は話せないです。コミュニケーションは難しいですね。
ティエンさん
まず、職員さんがみんな熱心です。介護の意味をしっかり勉強している職員さんは、介護も仕事の技術も根拠があるからわかりやすいです。みんな熱意を持って働いていると感じます。
中村さん
コミュニケーションは確かに難しいよね。
技術のところで言うと、チャンさんの言う真似して覚えるというのはそれほど難しいことではないけど、ティエンさんの言う「どうしてこういうことをするの?」っていう根拠を理解するのはすごく難しいよね。

人それぞれ介護の知識や技術に関しては到達度が違うから、2人はまさに今そこを現場で経験しながら学んでいるのかな?
チャンさん
学校ではほとんど理論、概要、理念ばかりで、実習時間はあまりありません。和光会でアルバイトをして、職員の方からいろいろな技術を学びました。

わからないところは「これはどうしてやるんですか?」と介護福祉士の方に積極的に質問して教えてもらっています。学校では介護の基礎を教えてもらうので、実際の現場とちょっと違いを感じます。
中村さん
学校と現場の違いに戸惑ったことはありますか?
チャンさん
あります。
例えば、学校ではベッドメイキングの基本的なステップを学びますが、施設とはシーツの種類が違います。
学校のステップで行うベッドメイキングは大体7分間かかりますが、施設ではベッドメイキングにそれほど時間はかかりません。
中村さん
今はゴムですぐにかけられるタイプになっているよね。
介護職員さんの時間と労力を考慮して、昨年から早く変えられるようなものにしたんです。
ご利用者とってはシーツの上にシワがあると居心地もよくないし、シーツ交換ひとつでも考えてやっていく必要がありますね。

2人の日々のスケジュール

チャンさん
【チャンさんの1日】
09:10 授業開始
16:30  帰宅 
16:30~19:00 夕食など(1~2時間)
19:00~21:00 国家資格勉強
22:00 就寝
ティエンさん
【ティエンさんの1日】
06:00 起床
09:30 授業開始
16:30 帰宅 
16:30~19:00 夕食など(1~2時間)
20:00~24:00 日本語・国家資格勉強
22:00 就寝

介護が楽しいと思う瞬間について
「心から楽しいと思える利用者とのふれあい」

中村さん
和光会でお仕事をする中で、うれしいと思う瞬間はありますか?
チャンさん
ご利用者の笑顔が一番うれしいです。
ご利用者に挨拶すると、いつもみなさん笑顔です。「今日はお元気ですか?」と毎日聞きますが、「はい、元気ですよ」と笑顔で応えてくれます。
笑顔がないときは、たぶん気持ちや体の具合が悪いかもしれないので気をつけています。観察していて何か変化や異常があれば、職員に相談します。
中村さん
なるほど。
一度声をかけて、いつもとちょっと様子が違うようであれば遠くから見守ってみたり、その日の気持ちをうかがいながら、もう一度声をかけてみたり。そういった気遣いは大切ですよね。

ティエンさんはどうですか?
心に残っている思い出はありますか?
ティエンさん
私はご利用者と話している時、時々ご利用者の答えと私の質問があわないことがあります。でも、それが楽しいです。
中村さん
会話が成立しなくても、その人が一生懸命答えようと向き合ってくれることがうれしいし、楽しいですよね。

こうしてチャンさんやティエンさんのように外国から介護の勉強をしに来られる方が和光会のご利用者と日々楽しく交流しているというのは大きな時代の変化ですね。

今後の目標とその先にある未来
「日本の介護を学んで、母国に高齢者のための環境づくりを」

中村さん
2人は今まさに日本で介護を勉強されていますが、将来的にはこんな環境で仕事がしたいというイメージはありますか?
チャンさん
今のベトナムには高齢者や障がい者のための介護保険制度はないので、将来はベトナムに帰って高齢者や障がい者に住みやすい環境を作りたいです。
ベトナムにはバリアフリーもなく、不便な生活です。ベトナムにも日本と同じような介護保険と環境ができることを望んでいます。
中村さん
ベトナムでは高齢者のための環境づくりというのが進んでいない?
チャンさん
はい。
例えば日本では、障がい者や視覚障がい者のための盲導犬がいます。車椅子もいろいろな種類があります。
ベトナムには盲導犬はいないし、車椅子も簡単な形に組み立てるだけです。

あとは、日本はトイレが素晴らしいです。ベトナムには障がい者のためのトイレはほとんどありません。日本は高齢者と障がい者が住みやすい環境が整っていると思います。それはこれからのベトナムにとってもとても役立つと思います。
中村さん
ティエンさんはどうですか?
ティエンさん
私は日本の社会福祉を勉強して、8年後ベトナムに戻ります。高齢者や障がい者の住みやすい環境を作りたいです。
中村さん
チャンさんとティエンさんは、同じ目標を持っているんですね。
1人では大変だけど、同じ夢の実現に向けて支え合える仲間がいると心強いですね!

国家試験合格に向けて
「憧れの介護福祉士を目指して」

中村さん
2人には日本でのストレスの発散法などありますか?
チャンさん
施設にいると楽しいです。
ご利用者や職員さんとコミュニケーションをとれるのが一番楽しい。「笑顔がかわいいね」と褒められるとすごくうれしいです。

学校では日本人のクラスメイトがすごく真面目に勉強しています。普段ほとんどコミュニケーションをとることがありませんが、みんなの頑張るところを見て私も頑張ります。
ティエンさん
私は、今はまだないです。
来年2月の国家試験に合格したいです。
でも、不合格だったら悲しいです。何とも言えない気持ちになると思います。みんな真面目に勉強しているので、あまり遊んだりもしません。それを見て、私も勉強しようと思います。
中村さん
チャンさんは国家試験に合格して卒業するのが今の目標。ティエンさんもそうだから、やはり目指すものは一緒なんですね。
そのために今はひたすら前に突き進んでるということでしょうか。

その中で今、2人が和光会で挑戦してみたいことはありますか?
ティエンさん
学校で勉強した介護の知識を使ってみたいと思います。職場でもそれを体験したいです。
中村さん
ティエンさんは実習に行きはじめてまもなく半年かな?今ようやく少しずつ身体介護ができるようになっているでしょうし、「和光会介護技術研修(社内介護技術レベル認定制度)」を受けてみてもいいかもしれませんね。
そこで一度こちらも評価をしてみて、できるところから少しずつお任せしようと思います。

身体介護をいきなり1人でやるというのは難しいですから、介護職員さんの補助にティエンさんが入るといったサポートから始める予定です。今までは環境整備だとかベッドメイキングだとか、生活支援的な仕事をベースにお願いしていましたが、少しずつ技術提供の範囲を広げていきましょう。

チャンさんはもう4年生で、有料老人ホームで働いていた経験もありますから、簡単な食事介助をお任せしていますよね。同様に「和光会介護技術研修」を受けて、ステップアップするのもいいかもしれませんね。
チャンさん
はい、頑張ります!ありがとうございます。
中村さん
とはいえ、もうすぐ国家試験だもんね。
12月以降3ヶ月間は一番大事な時期だと思うので「和光会介護技術研修」を受けるにしても、まずは国家試験合格をめざして頑張ってくださいね。

あとがき
対談を終えて~中村さんから2人へのメッセージ~

中村さん
私がチェンさんやティエンさんくらいの頃、日本では介護や介護福祉士という言葉はあっても、ここまで世間から注目されてはいませんでした。介護保険制度というもの自体、私が入職した時にはなかったんです。
2人が話してくれた今のベトナムの現状と同じように、日本でもその頃はまだ「高齢者は家で家族がみる」というのが当たり前の時代でした。

その後数年間のうちに高齢化社会という言葉が問題視されはじめて、介護保険制度がスタートし、同時に高齢者施設が日本中に一気に広がりました。
私が看護師として勤めていた病院も例外ではなく、院内には「社会的入院」という、緊急処置が必要でない高齢の患者さん(レスパイト)で患者さん用のベッドが利用されたこともありました。
今では介護保険も当時に比べるとずいぶん整備されて、地域で暮らしながら必要なサービスを選んで利用するというスタイルが完成していますよね。そして今の日本は超高齢社会に突入していて、若者1人が4人の高齢者を支えなければなりません。

そんな時代の中、チャンさんやティエンさんのような若者が海外から日本の介護を勉強しに来日される時代になるとは、あの頃は想像もしていませんでした。ベトナムの方たちは、日本人と同じようにおもてなしの気持ちを持っています。小さな気遣いを大切に、これからもご利用者が安心して生活ができるようなサポートを頑張ってもらいたいですね。日本と海外のニーズがマッチしたからこそ、こういった留学制度があるわけです。

2人には日本の介護のメリットとデメリットをしっかり見極めて、さらに発展した形で、和光会の介護をベトナムに持ち帰ってくれることを期待しています。

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