DX推進 | 和光会グループ

dx promotion

医療・福祉事業の継続支援

DX推進の概要と背景

和光会グループは、急速に進展するデジタル技術を医療・介護・福祉の各分野で
積極的に取り入れ、業務効率化と新たなサービスの提供を追求しています。

 

2000年代初頭に導入が始まった電子カルテは、医療現場における情報共有と業務効率化の基盤として進化を遂げ、今後も技術革新を通じて医療とケアの質の向上が求められています。さらに、オンライン診療電子処方箋、そして遠隔診療システムの普及より、都市部と地方の医療格差が縮小し、高齢者や移動が困難な方々への迅速かつ柔軟な医療提供が実現されつつあります。

また、デジタル技術の進展は、個人の健康データの収集・活用を促進し、パーソナライズされた医療や予防医療の基盤となるとともに、福祉分野においても利用者一人ひとりの状況に応じたケアプランの最適化や、障がい児・者福祉、介護、子育て支援といった多様なサービス領域での連携強化が可能となります。たとえば、ウェアラブルデバイスやパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の普及により、健康管理の自助努力が促されると同時に、介護現場や子育て支援施設においても、利用者・保護者のニーズに応じた柔軟なサービス提供が実現されることが期待されます。

デジタル技術の進化は、組織にとってリスクと機会の双方をもたらします。例えば、オンライン診療や電子処方箋の普及が、従来の対面医療の在り方を大きく変え、クリニックの役割や訪問診療のあり方にも影響を及ぼす可能性があります。一方で、介護や障がい支援、子育て支援といった人の手によるケアが不可欠な分野では、見守り機器や生成AI、RPAの活用により、業務効率の向上と生産性の大幅な改善が期待されるとともに、より専門性の高いサービスへの経営資源の集中が可能となります。

和光会グループは、こうした変化に迅速に対応し、最新のデジタル技術を積極的に導入することで、医療・介護・福祉の各分野における質の向上と業務効率化を同時に推進します。これにより、地域社会における健康・福祉の課題に対して柔軟かつ先進的な解決策を提供し、持続可能な社会貢献と競争力の強化を目指しています。

DX推進に向けた経営ビジョン

和光会グループは、基本理念である「みんなを笑顔に。」、そしてビジョンである「どんなときも、安心して笑顔で暮らせる地域社会を創造」を土台に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を全社的な変革の推進力と位置づけています。

 

第一段階:効率化・生産性向上による基盤強化

最新のデジタル技術を導入することで、業務の効率化と生産性の向上を図り、地域社会から信頼され選ばれる医療・介護機関としての基盤を確立します。これにより、優秀な人材の確保と育成を強化し、現状のサービスの質の向上と持続可能な運営体制を実現します。

 

第二段階:革新的な体験と組織変革による未来創造

効率化による基盤の上に、患者や利用者に対してこれまでにない新しい体験を提供すること、そして社会や価値観の変化に柔軟に対応する組織へと進化することを目指します。DXの推進は、働き方や組織の在り方そのものを変革し、「みんなを笑顔に。」という理念をさらに深い解像度で体現する手段です。私たちは、内部のイノベーションを通じて、未来の地域社会が安心して笑顔で暮らせる環境の実現に貢献し、変革をリードしていきます。

ビジネスモデルの方向性

和光会グループは、DXの推進を通じ、変化する社会環境に柔軟に対応し、地域から信頼されるグループとして、経営ビジョン「どんなときも、安心して笑顔で暮らせる地域社会の創造」と理念「みんなを笑顔に。」の実現を目指します。DX投資には十分な検討とコスト管理が求められるため、各施策の導入にあたっては、コストパフォーマンスや全体最適、継続的な検証・改善、そして最新の情報セキュリティ対策を徹底します。

 

1.業務プロセス・組織体制の革新

効率的な業務基盤の整備
全施設における高速Wi‑Fiの整備、クラウド技術の導入、統合型データ管理基盤の構築により、業務の効率化および標準化を徹底します。

コストと効果のバランス
各プロジェクトにおいて、導入目的と目標を明確にし、コストと効果を慎重に検討。必要な投資であるかどうかを判断し、成功事例はグループ内で迅速に横展開します。

組織横断的な連携と継続的な改善
DX推進室が中心となり、各部署の情報収集と機器選定を統括。定期的な検証と改善を通じ、柔軟な働き方と迅速な意思決定を実現するとともに、全体最適を常に意識した運用体制を確立します。

情報セキュリティの強化
最新のガイドラインに基づいた職員教育およびセキュリティ対策の徹底により、安心してシステムを利用できる環境を維持します。

2.患者・利用者体験の革新

新たなサービスモデルの構築
既存および今後登場するデジタル技術やサービスを積極的に取り入れ、従来の医療・介護・福祉サービスを補完する新しいサービスモデルを構築します。

パーソナライズドなケアの実現
個々の患者・利用者のニーズに合わせたオンライン診療、健康相談、そしてパーソナライズされたケアプランの提供などを通じ、利用者の満足度と利便性の向上を図ります。

戦略的情報収集による柔軟な対応
政府の政策、市場動向、国民意識の変化を注視し、社会環境の変化に即応できるサービス設計を推進します。

3.顧客管理の革新

統合的なデータ活用
電子カルテやその他の電子記録システムに蓄積された診療・ケア情報を統合・分析し、医療・介護の垣根を超えた情報連携を強化します。

高度な経営分析とケアの最適化
統合されたデータを基に、各部門間で情報を共有し、経営改善と総合的なケアの質向上を図ります。

先進技術による自動化
RPAや生成AIなどの最新技術を活用し、データ更新や解析の自動化を推進。これにより、効率的な顧客管理と迅速な意思決定を実現します。


DX戦略の概要

和光会グループは、前述の基本戦略で示した3つの柱(業務プロセス・組織体制の革新、患者・利用者体験の革新、顧客管理の革新)を実現するため、以下のDX戦略を推進します。
なお、各施策においては、コストパフォーマンス、全体最適、継続的な検証・改善、そして情報セキュリティの徹底を基本原則として運用します。

 

業務プロセス・組織体制のDX化

・各施設での高速Wi‑Fi整備、クラウド基盤の導入、統合型データ管理システムの構築を推進
・DX推進室を中心とした、組織横断的な連携体制の確立と、柔軟な働き方の実現
・各プロジェクトにおける導入目的や目標の明確化、コスト効果の継続的検証と成果の横展開

 

患者・利用者体験のDX化

・遠隔診療、オンライン健康相談、パーソナライズドなケアプランの提供など、デジタル技術を活用した新たなサービスモデルの構築
・政府の政策動向や市場の変化に即応できる、戦略的な情報収集とサービス設計の強化

 

顧客管理・データ活用のDX化

・電子カルテや介護記録などのデジタルデータを統合・分析し、医療・介護の枠を超えた情報連携と経営分析の基盤を構築
・RPAや生成AIの活用により、データ更新・解析の自動化を進め、迅速かつ的確な意思決定を支援

DX戦略の具体例

医療法人和光会

1.業務プロセス・組織体制の革新
各施設における高速Wi Fi環境とモバイルデバイスの整備により、迅速な情報共有と効率的な業務運営を実現。これにより、診療記録や検査結果がリアルタイムに共有され、迅速な意思決定を支援します。

2.患者体験の革新
オンライン診療や先進的な見守りシステムの導入を進め、働き世代をはじめとする多様な患者様が場所や時間にとらわれず医療サービスを受けられる環境を整備。患者様個々のニーズに応じたパーソナライズドなケアを提供します。

3.顧客管理・データ活用の革新
新たなCRMシステムとデータ統合により、診療記録や介護情報を一元管理し、各患者様の健康状態やニーズに応じたパーソナライズドな治療・ケアプランを迅速かつプロアクティブに提案します。これにより、患者様一人ひとりに最適な医療サービスを提供し、安心して長期にわたってご利用いただける医療体制の確立を目指します。

 

社会福祉法人和光会

1.業務プロセス・組織体制の革新
全施設での最新Wi Fi環境とデバイスの整備、ならびに契約・請求管理のクラウド化を推進。これにより、業務の効率化とコスト削減、さらには利用者様やご家族の事務負担軽減を実現します。

2.利用者体験の革新
特別養護老人ホームなどの入所施設に全室導入された見守りシステムや、必要に応じた連携システムにより、安心・安全な介護サービスを提供。迅速な情報伝達を支えるシステムの活用で、よりきめ細やかなサービスを実現しています。

3.顧客管理・データ活用の革新
利用者ごとのケアプランやサービス履歴など、各種デジタルデータを統合管理し、高度なデータ解析に基づいたプロアクティブな支援策を展開。これにより、個々の利用者のニーズに即した支援と、法人全体の運営効率の向上を目指します。


ーーー事例紹介ーーー
山田病院への見守りシステム導入(医療法人

病院への見守りシステム導入は、介護施設に比べて進捗が遅れているのが現状です。
そんな中、山田病院では先進的な取り組みとして、全病床に見守りシステムを導入しました。
このシステムは、入院患者の高齢化が進む中で、より安全で安心な医療提供を実現する体制構築に寄与しています。

特別養護老人ホームへの見守りシステム導入社会福祉法人

特別養護老人ホーム「ナーシングケア北方」では、2022年に全居室に見守りシステムを導入し、夜間の巡視業務をモニターでの遠隔巡視へと切り替えることで、職員の業務負担を大幅に軽減しました。このシステムは、睡眠状況の解析などにも活用され、入居者の健康管理をより効率的かつ精密にサポートしています。さらに、「ナーシングケア寺田」および「ナーシングケア加納」にも順次導入を進めており、2024年度中には全特養での導入が完了する予定です。

マニュアルのペーパーレス化医療法人社会福祉法人

Teachme Biz AWARD 2024 「社会貢献賞」を受賞
和光会グループは、12月3日に東京で開催されたTeachme Biz AWARD 2024の表彰式において「社会貢献賞」を受賞しました。Teachme Bizは株式会社スタディスト(東京都千代田区)が提供するマニュアル作成・共有システムで、今回の受賞は2,100社を超える利用企業の中から、業務改善や効率化を実現しながら、社会に貢献する取り組みが優れているとして評価されたものです。

和光会グループでは、全事業所でTeachme Bizを活用し、業務マニュアルの標準化に取り組んでいます。現在までに2,000本以上のマニュアルを作成し、マニュアル作成時間や検索時間の削減により年間84,240時間の工数削減を実現。新入職者への教育時間も一人当たり160時間から40時間へと大幅に短縮することができました。さらに、ペーパーレス化により年間約7,000枚の紙削減も実現しています。

人材育成とDX推進体制

法人内の各事業所で、DX推進担当者を育成します。事業所ごとに各団体が主催する研修や求められる要件が異なるため、育成研修課と各事業部で計画を立て、DX推進室で管理します。たとえば、介護事業所であればデジタル中核人材養成研修の受講人数を事業所ごとに設定しています。

DX戦略マップ

和光会グループについて
医療法人和光会と社会福祉法人和光会を中核とし、関連する株式会社やNPO法人も含めた協力体制を『和光会グループ』と総称しています。共通の理念『みんなを笑顔に。』のもと、グループ全体で緊密に連携しながら、医療・福祉サービスを提供しています。デジタル化推進においても、グループ共同のDX推進室を設置し、デジタル技術を活用した革新的なヘルスケアサービスの実現に向けて、法人の枠を超えた一体的な推進を行っています。

理事長メッセージ

 医療法人和光会 理事長 山田豪
「確かな効率化と働き方改革で、地域医療の未来に備える」

私たちは、コロナ禍を経て大きな転換期に直面しています。医療ニーズや受療行動の変化、そして財政的な制約の中で、従来の医療提供体制を見直す必要があります。さらに、政府主導の各種施策が急速に進む中、保険診療を行う私たちは、これらの変化に的確に対応することが求められています。

まずは、現場の業務効率化に注力しています。全施設の情報環境を整え、各現場で記録されたデータがすぐに共有できる体制を構築することで、医師や看護師、介護スタッフが迅速かつ正確に連携できるよう努めています。

オンライン診療については、地域の実情やニーズを見極めながら、安定したサービス提供に向けた体制づくりを進めています。急速な普及を目指すというよりも、必要な時に柔軟に対応できる仕組みとして、現場での運用と安全性を最優先に考えています。

また、働き方改革にも真剣に取り組んでいます。病院では一定の固定的な勤務体制が必要である一方、チーム医療の推進や、限られた人材の中で多様な働き方を可能にする仕組みづくりが求められています。たとえば、見守りシステムの導入は、夜勤業務の負担を軽減し、看護師や介護士がより効率的に連携できる環境を作り出す重要なツールとなっています。こうした取り組みは、現場の負担軽減とともに、患者様に対して安心で質の高い医療サービスを提供する基盤となっています。

さらに、国の施策に沿った対応と並行して、バックヤードでのDX推進も進めています。厳しい財政環境の中、効果的なコスト削減や生産性向上、さらには柔軟な働き方を実現するために、必要な取り組みを計画的に進めていく方針です。

保険診療の枠組みや国の方針をしっかり守りながらも、現場の声に基づいた実効性のあるDX推進を進め、地域の皆様に信頼される医療体制を築いていきます。これからも、確かな効率化と働き方改革を着実に進め、地域医療の未来に向けた一歩を踏み出していきます。

 社会福祉法人和光会 理事長 山田豪
「職員が笑顔で働ける現場を創る – DXで切り拓く福祉の未来」

近年、介護・福祉業界全体で職員不足が深刻な課題となり、多くの現場で働く人々が大きな負担に直面しています。従来のマンパワーに頼る働き方だけでは、現場の負担を軽減することは難しく、効率的で持続可能なサービス提供体制への転換が求められています。

私たち社会福祉法人和光会は、こうした業界全体の課題に対して、先進的な取り組みを積極的に進めています。たとえば、各施設でのマニュアルのクラウド化や、誰でも使いやすい指示・記録システムの導入を通じ、業務プロセスをシンプルかつ効率的に進められる環境づくりに努めています。これにより、年齢や国籍、さまざまなバックグラウンドを持つ職員が、負担なく働ける環境が整い、現場全体のサービスの質が向上すると確信しています。

また、従来のやり方では対応が難しい複雑な課題に対しても、業界を問わず先進的な取り組みを取り入れ、柔軟にチャレンジしていく必要があります。職員がやりがいと誇りを持って働ける環境は、利用者やご家族の安心にも直結します。DXを活用した業務効率化は、現場の負担を大幅に軽減し、将来的には業界全体の競争力を高める重要な鍵となると考えています。

これからも、現場の実情に根ざした実効性のあるDX推進を進め、働きやすく、負担の少ない職場環境の実現と、利用者やご家族の不便の解消に努めてまいります。私たちは、業界全体の変革に貢献するという強い意志を持ち、先進的な取り組みを積極的に取り入れながら、未来の福祉サービスのあり方を模索していきます。

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